やっと固形燃料とビーカーでほったらかしてご飯をおいしく炊けました。
固形燃料生活をはじめてからの課題であるビーカーと固形燃料による自動炊飯システムですが、とうとう完成です。
一応簡単な記録は取っていましたが紆余曲折色々ありましてその大半を割愛します。大まかな流れは後半でまとめます。
課題・問題点
単純にダイソーコンロに固形燃料と言う組み合わせだと火力と炎の安定性に問題がありました。固形燃料からビーカー底面まで間隔があるため火力が弱く炎も揺らいで安定しない。また、1点に集中してしまった場合はビーカーの熱伝導率の低さも相まって焦げ付いてしまいます。
Esbitのポケットストーブにビーカーを乗せられる火格子を導入したのでそちらでも試してみたんですが、こっちは逆に火力が強すぎて底が焦げ焦げになってしまいます。
やはりダイソーコンロの方が小細工はしやすいかなと、火力の底上げと安定性の向上、炎の拡散。この辺りが課題だと思い色々試してみてやっと納得のいく形になりました。
固形燃料用強化火口
火力の底上げ、安定性の向上、炎の拡散。この3つを満たす装置を作りました。名付けて「固形燃料用強化火口」…そのまんまですね。試作段階ではもっと格好良い名前だったんですが試作品はあえなく没になりました。
この強化火口ですが構造的には炎をステンレスの筒を通してステンレスパンチングの目皿から拡散させると言う仕組みです。炎が筒を通るので安定性が高まるのは当然ですがキモはこの筒が熱せられて筒内部に上昇気流が発生すると言う点です。これにより炎の直進性が高まり目皿が無ければ勢いよく噴出します。当初これを筒ではなくドーナツ状のコイルで色々実験していて「ジェットコイル」と呼んでいました。色々あって没になってただの筒になってしまいました。これも横文字で「ジェットディフューズバーナー」とか言えば少しは格好良いですか?語呂が悪い。
ステンレスの筒はセルクルリング丸型 φ45×H30mmと言う料理用の型です。そして目皿はuxcell 目皿 排水口 家庭 ステンレス鋼 ストッパー ストレーナー カバー シルバートーンという物です。
この2枚組の目皿の1枚の中心部分をニッパーで切り取り底に、もう1枚を天井にして筒を挟み込んで60mm長のm4ボルトで挟み込みました。ダイソーコンロ内部に装備できる大きさです。
全力火力で炊飯の向こう側へ
強化火口の出来は良いと思うんですが火力が強くなり過ぎて底が焦げてしまいます。これが無いと火力不足でちゃんと炊けなかった事を考えるとかなりの性能ですがオーバースペック過ぎました。
また他にも欠点がありましてビーカーを置いたまま点火すると炎が噴出しません。なので一旦何も載せないで炎が噴出したのを確かめてからと言う事になります。
念のため15gの固形燃料で試したところやはり火力不足なので25gでもう少し火力を抑える工夫をします。
五徳の穴の形状もどうも気に入らなので当初良い感じに炊けたスリット型の五徳を探して購入しました。またしても五徳では無くて#40 鋳物コンロサナ (大) 120mmと言う製品で七輪の底に敷くサナと言う物の様です。まあとどのつまり火格子ですよ。
この火格子は今までの五徳よりも更に厚く8mm程の厚みがあります。またスリット型なので炎が変に偏る事は無いと思います。
おいしいくご飯が炊けました
取り合えずいつもの五徳の上に載せてダブル五徳でどんなもんかと。そうそう、米を水に浸す時間は1時間半ぐらいにしました。今まで30分ぐらいで良いだろうと思ってたらお米の袋に最低1時間と書かれていたので余裕を見て1時間半ぐらい浸す事にしました。*1
ほったらかしで火が消えて10分蒸らして…ダメでした。芯がしっかり残ったご飯です。
悔しいのでまたもや2度目の晩御飯を食べようと思います。2度目の晩御飯がただの白米と言うのもちょっと飽きるので昆布ご飯を炊きます。ただ刻んだ昆布を米と一緒に水に浸してから塩2つまみ程入れて炊くだけです。
と言う事で点火して放置です。気になってちょこちょこ様子は見ていましたが順調です。
火が消えて10分蒸らしてかき混ぜてみると良い感じ。やっとほったらかしでご飯がおいしく炊けましたよ。
と言う事で固形燃料とビーカーによる自動炊飯システムがここに完成しました。リケジョにモテる予感しかしない。
ヒーローは遅れてやってくると言うものの遅れて来た奴がヒーローとは限らない
ご飯が美味しく炊けた翌日の21日、この炊飯システムに使おうと注文していたパーツがやっと届きました。先月14日に国内に入ってから随分とかかりました。
届いたパーツは真鍮の目皿です。ステンレスの目皿で成功したから今更なんですけどね…
またこの目皿、穴がちょっと多くてうまく拡散できなさそうです。が、一応届いたので試したところやっぱりダメでした。火力が弱いです。弱いなら以前の五徳で丁度良いかなと試したところちゃんと炊けました。ただステンレスの目皿に新しい五徳の方が炊き加減が良いのでこれも没で。
かいつまんでよ紆余曲折
当初いくつかの課題の中から炎の安定性改善と言う事で空気の流れを整えようと鉄の針金でドーナツ状のコイルを作ってみました。コイルの隙間の外側から内側へ空気が流れるイメージです。炎がユラユラしないだけでもと思い、たまたま目についた針金で作ってみました。
が、これを試したところ予想以上の性能で炎がジェットのように吹き上がりました。コイルが熱せられる事によって上昇気流が発生しているようです。これにより炎自体も安定し火力も上がりました。燃焼面へ供給される空気量も増えます。
これをジェットコイルと名付けて色々試作してみました。手持ちの太いアルミ線では隙間がすくなくて効果が薄く、細い銅線だと割と良い感じなりました。ただ銅が燃えるようで炎が緑だったりすぐ黒ずんだり…
銅線が古いからかとφ1.2㎜の銅線を購入して試したところやはり若干燃えるようです。そして激しく黒ずみます。これって酸化ですかね… 昔学校で銅粉を燃焼させる実験をやったような…
銅が酸化すると著しく熱伝導率が下がります。実際吹き上がる炎もかなり弱弱しくなりました。と言う事で銅線は使えません。
φ1.2mmのアルミ線ならどうかと試したところこちらは火力が衰える事も無く順調です。太いアルミ線がダメだったのはやはり隙間が無かったからでしょう。しかし何度か使っていて火力が弱くなったかと見てみると溶けてました。融点低いからね… と言う事でアルミもダメです。
真鍮ならガスコンロの火口なんかで使われているので大丈夫だろうとφ0.9mmの真鍮線を購入しました。φ1.2mmぐらいが良いと思うんですが売っていなかったので。
ただこの真鍮線、私の知っている真鍮とは何か違います。やけに色がまっきんきんなのはともかく靭性が強いと言いますか、コイルにしてもバネみたいにビヨンビヨンしてしまい、そもそもコイルも綺麗に巻けません。やっと巻いてドーナツ状にしてもかなり形がいびつです。
このいびつな形が災いしたのか火力も思った程出ません。
結局鉄の針金ぐらいしか実用にならなそうですが鉄の針金は通常亜鉛メッキで亜鉛の融点はアルミより低いです。割とすぐにメッキは剥がれるでしょうし耐久性に疑問が…
と言う事でジェットコイルは断念しました。完成していれば「固形燃料界のニコラ・テスラ」の名を欲しいままにリケジョにモテモテの予定だったのに。
ともかく目皿単体の拡散・噴出効果もそれなりなのでこの目皿をうまく活かせないかと使えそうな物を探してみたら料理用の筒状の型を見つけました。
穴も開いていないのでうまく空気が供給できるか疑問はあったんですが実際に試したところ思いの外好調だったのでこれでいけると言う判断で話は冒頭へ戻ります。