以前とは違うタイプの電源改善装置を作りました。
と大袈裟に言っていますがただのコンデンサによるバッファです。以前作ったものはあくまでDCDCコンバーターで電源の改善は副作用を利用したものですが今回はちゃんと改善を目的として作りました。
一般的なスイッチング式のACアダプターだとスイッチングノイズやリップルが十分に取り切れていないのかなと思ってその除去に主眼を置いたものです。所謂ノイズフィルターだとコイルも使ったりしますがコイルに因る音質低下も気になりまして。以前失敗したファインメットビーズも結局コイルみたいなもんですからね。あの音か…と思うとちょっと使うのを躊躇します。
回路
と言う事で早速作ります。今回ちょっとした工作用に便利なちゃちな片面基板を買いました。パキパキ折って手軽に使えて良いです。
装置と言ってもDCケーブルのメスとオスの間に並列にいくつかのコンデンサを配置すると言う簡単な物です。
入力側から0.22μFの積層セラミックコンデンサ(X7R)、10μFの積層セラミックコンデンサ(X7S)、150μFの高分子個体コンデンサ、220μFのチップ電解コンデンサと言う順です。
なるべく高周波から取り除いて各コンデンサの自己共振周波数を超えないようにするのが良いだろうとこの順番になりました。所詮素人考えなのでどこまで正しいかわかりませんが。
さくっと作って0db HyCAAで試してみます。使用している電源のGF18-US1215-Tで改善すれば合格かなと。
エージングを待たずして低域が増えているのがわかります。同時にその辺りの解像度がちょっとぼやけた気もしますがエージングで改善するでしょう。
しばらくして取り外すと若干物足りなさを感じます。もう一度繋ぐと解像度のぼやけは気になりません。やっぱり低域が改善したと言う印象です。まあ合格でしょう。
試しにパワーアンプの電源にも以前の電源改善装置の後に繋いでみましたが、中低域以下がちょっとぼわついた感じで具合は良くありません。応答性の悪化がそのまま音に出た感じでしょうか。たった380.22μFなのに…
ハウジング
常用するにあたり裸のままではショートが怖いのでそれなりのケースに納めたいと思います。またしても適当な物が無いので使えそうな物を注文してみました。
ショットガンの薬莢です。プライマーを外せばケーブルを通すにも都合が良いです。黒とグレーを用意しました。
と言う事でプライマーを内側から小突いて外そうとするんですが外れません。構造的にはこれでいけると思うんですが。
Youtubeでそれらしい動画を探してみるとペンで簡単に外せています。気を取り直して別の薬莢で試すとすんなり外れました。個体差?
動画とは違い千枚通しの先端を落としたものを使いました。
グレーの方は外せたものの黒いのは2つとも無理でした。どちらかと言うとこの黒い方が格好良いから使いたかったんですが。
ケーブルを一旦基板から外してプライマーを外した孔に通してから基板に再度はんだ付けしました。結束バンドで固定して裏面をテープで絶縁して薬莢に突っ込みます。
口が開いているのが気になったのでボンドで塞いでみました。黒ゴム接着剤と言う物を使いましたがちょっと軟らかすぎて使いにくいです。シリコーンシーラントみたいに盛り盛りに盛れると思っていたら普通にゴム糊程度の粘度でした。パッケージの使用方法を見てもまあゴム糊ですよね。
どんどん内側に流れ落ちてしまうボンドをうまく流れないようにあれこれ動かしながらフーフー息を吹きかけて、ある程度膜を張ったらまたボンドを足して…と何回か繰り返して一晩吊るしておきました。
一晩経って乾燥はしていましたが心許ない膜状のゴムです。取り合えず塞がってるから良いでしょう。
試してみた
完成したので他の電源でも試してみます。
MARSHAL CP1210 12V 2A
多分MARSHALのHDDスタンドに付属していた電源です。元々GF18-US1215-Tとの違いがあまりわからない電源です。こっちの方が若干低音寄りで解像度が甘いような気もします。
今回の装置を取り付けると少し明瞭になったような。やはり装置付きのGF18-US1215-Tとの違いがいまいちわかりません。
この電源のみでの判断もアレですがMARSHALのACアダプターも結構良い電源なんだと思います。ACアダプターを単体で売ってるぐらいなので選んでも失敗は無いのかなと。
Shenzhen Shi Yingyuan Electronics Co.,Ltd 12V 3A
HDD2台をぶっ壊してくれたスリー・アールシステムのHDDスタンドの電源だったと思います。製造はShenzhen Shi Yingyuan Electronics Co.,Ltdです。低域から高域まで押し並べて音が硬くて荒っぽい、そんな電源です。
今回の装置を付けると硬さと荒っぽさが少し大人しくなります。が、わざわざ使わなくてもね… 容量が大きいので取り合えず保管している、そんな電源です。
キヤノン AD-360U
期待して購入したものの残念だった代物。今回の装置で実用レベルになりました。
問題の低音のボヤ付きが解消されました。とは言え装置付きだとGF18-US1215-TもMARSHAL CP1210もこれも横並びと言う感じです。ブラインドテストで判別できる自信はありません。
結局大きさと形状的に一番使いやすいGF18-US1215-T続投と言う事に落ち着きました。
つまるところ
電源改善装置と言うのは誇大広告です。
実際作る前には毒にも薬にもならないだろうなと思っていましたが意外にも効果はあるようです。一般的なスイッチング式ACアダプターだと付けておいて損は無いかなと。繋ぐ機器次第ではありますが。
一方ノイズが少なく応答性の良い電源にはただの無駄なバッファになるようです。元々の電源ラインにバッファが多ければそれにマスクされてそれこそ毒にも薬にもならない状態だと思いますが、バッファが少ないシステムだから毒の部分がわかりやすく出たんでしょう。
0db HyCAAもバッファを減らせばまた違った結果になったかもしれません。