FX-AUDIOのFX502S Proを購入しました。
これまでONKYOのMA-500Uを十年以上使っていましたがだんだんと不満が出てきまして。ここ数年デジタルアンプICを使った所謂中華アンプと言う格安アンプの評判を色々聞くようになり次はデジタルアンプICを使った物が良いかなと思っていました。一方でそこまで音に変化があるのかと言う疑問もあり購入をとどまっていました。
しかし先日0db HyCAAヘッドホンアンプを作った事によりはっきりしました。MA-500Uはぼんやりした音のアンプだと。そして自分は割とはっきりクリアな音が好きな質であると。
あれこれ調べてキットも含めいくつか候補に挙がりましたが最終的にFX502S Proに決定しました。
デジタルアンプICと言うとTA2020が有名ですがそもそも話題になった時点で生産終了のICでして、今でもまだ入手できそうですが比較的新しめのICを使っている物が良いと言う事でこれに決めました。評判もクリアでフラット
と上々です。もちろん価格と見た目も考慮に入れました。
早速音を出してみる
家に届いたので写真を撮るのも忘れてそそくさと接続し音を出してみると… 取り合えず少し様子を見ましょう。10分も鳴らしておけば大分落ち着きます。
音質は評判通りクリアでフラットと言う感じです。低域から高域までよく出て歯切れの良い音です。
机の上でのニアフィールドでの使用になるためスピーカーも小さく音量もそれ程出せないため低音の不足はある程度仕方ないと思っていましたがまずまずです。
高音は刺さる感じがありませんし低音も歯切れが良くもたついたり妙な残響がありません。*2 定位感は環境上いまいちよくわかりません。
1万円もしないのにこの音は凄いなと言うのが率直な感想です。
中身はどんな?
一通り音を確かめたので中身を見てみます。剥がすと保証が切れる封印シールがありますが私はこの手のシールは剥がさず切ります。「剥がしてないから保証切れないよ!」と内心思っています。アメリカでは「分解したら保証切れ」は違法らしいですよ。
開けてみると細かな埃があちこちに見えます。基板も汚かったりこの辺は中華水準なのであまり突っ込むのも野暮ですが。
アルミ電解コンデンサは4種類でしょうか。ルビコン YXG、日本ケミコン KY、ニチコン PW、エルナー。
一際存在感のあるYXGは電源平滑用でしょう。KYはスイッチ周り、PWがオペアンプ付近にあるので音に直接かかわる部分に使われているのかなと。エルナーのはよくわかりませんが標準品でしょう。音に関係ない部分で使われているのかと。
音に関係大アリのカップリングコンデンサでした。C3と隣のC8?はオペアンプへの入力カップリングコンデンサです。4本並んでいるのはオペアンプの出力カップリングコンデンサとなります。
YXG、KY、PWは低ESRなので換える場合はその辺を踏まえた方が良いのかな?気が向いたら交換してみるかも。
ミントグリーンのフィルムコンデンサは出力のLPFで0.82μFでしょう。上面の印字は読みづらいけど「,82J」だと思います。NFJのネットショップ見ると似たようなフィルムコンデンサがあって表記も同様に「,33J」で0.33μFとの事です。音に直接かかわる部分なのでこちらも気が向いたらと言う事で。
全体的にチップ部品が多いです。概ねチップ部品は性能も良く音に変なクセも付かないようなのでこちらは交換するつもりはありません。
オペアンプはNE5532Pです。左右独立で使用しているらしく2つ使っています。*3 このオペアンプがボトルネックになっていると言う話もあるので交換します。
他には空きパターンがあったり使用していないピンヘッダがあったりと気になる点はありますがわからないので何とも。残念ながら解析する能力は私にはありません。
あとボリュームがカチカチと言うノッチのあるタイプで使いづらいのでこちらも交換します。
パワーアンプICのTPA3250ですが動作中そこそこ熱くなります。ヒートシンクは触れない程ではないですが電解コンデンサが近いのが少し気になります。
そう言えば電源
この手の製品では電源別売りだったりする事も珍しくありませんが付属していました。24V 4Aと言う大容量のACアダプターです。ノイズも入る事も無く良好に動作していると思います。
一応用意していた16VのACアダプター*4も試してみましたが何となく付属の方が音が良いように聞こえました。
とにかく付属のACアダプターはまずまずの物だと思います。
パーツ交換
オペアンプ交換
オペアンプ交換は予算の限られる中失敗の無いようにOP275GPZを用意しました。先日ヘッドホンアンプに使ったOP275GPの鉛フリー版です。ビスパで250円でした。
オペアンプはソケット式で簡単に交換できます。あんまり良いスピーカーじゃなくても音の違いがはっきりわかりました。
解像度が高くなり高音の響きががきれいになりました。レンジも広がって低音ももう少し出るようになりました。また定位も良くなり以前ほどぼんやりした感じではなくなりました。
全体的に元々のウィークポイントをうまくカバーできた感じです。冒険しないで良かった。OP275GP(Z)はコスパが良いですね。秋月のOP275GPなら200円ですし。
ボリューム交換
ボリュームは安くて音質に定評のあるマルツのRD925G A特性 50KΩにしました。*5 ただ元々のボリュームの軸がローレットタイプなのに対してこれはツルツルのソリッドタイプなので、つまみも一緒に用意しなければいけません。変更しても違和感も無く価格抑えめ*6のマルツの25X15BS-7にしました。
ボリューム部分は別基板になっているけどはんだ付けされているため簡単には脱着できません。はんだを除去して外したんですがパターンが破損しました。スルーホールも死にました。*7
パターンは配線しなおせば良いだけなので配線を調べたところボリュームの1番ピンと4番ピンが基板上で導通してます。単純にボリュームのピンとピンヘッダのピンが1:1で対応してるわけではないようです。
ピンヘッダとの対応はボリュームの軸を右にして手前が左から2、5、NC、奥が左から3、1・4、6と言う並びです。REV:3なので別のリビジョンだと違うかも。
メイン基板のピンヘッダははんだが残って邪魔だったり少し斜めに取り付けられていたので新しい物に交換しておきました。
ボリューム基板は破損したパターンを0.2㎜のUEWで補って各ピンと一緒にはんだ付けします。電源を入れて動作の確認をすると動作も音も問題ありません。何とかボリュームの交換ができました。
これで回転がスムーズになり使いやすくなりました。音も良くなった気がするんですが多分気のせいです。
後は組み立ててツマミをつけるだけですがその前に他のパーツも交換しておきます。
ヒートシンク交換
手頃な大きさのヒートシンクがあったので交換してみます。
ヒートシンクは基板裏からM3ボルト2本で固定しています。ネジ穴の間隔は28mmなので同じように28mm間隔で孔を開けてM3のタップでネジ山を切ります。
一応放熱用のシリコーングリスを塗りなおして交換しました。
少し使ってみると元々のより熱くなってますがコンデンサへの熱の伝わりは緩和されました。ヒートシンクとの隙間が広がったのと基板に逃げていた熱がヒートシンクによく伝わるようになったためだと思います。この熱を更にケースに逃がせれば良いんですが。
と言う事でこれまた手頃な大きさのヒートシンクと放熱用のシリコーンシートを組み合わせてケース上面へと熱を逃がすようにしました。
ヒートシンクを逆さにして噛み合わせケース上面との隙間をシリコーンシートで埋める形になります。効率は良くありませんが何もしないよりはマシでしょう。
ついでに
パイロットランプが赤と言うのにどうにも馴染めないので青緑のLEDに交換します。テスターで極性を確かめてから交換します。
思ってたより緑です。VFDっぽい色かと勝手に思ってたんですが。
つまみを取り付ける
基板をケースに納めてフロントパネルにボリュームの軸を固定します。残念ながら微妙に曲がっています。ボリューム基板を使わずにパネルに直接取り付けた方が良いと思います。ピンヘッダも適当なコネクタに換えて。今更ですが。
元々の物より直径が1㎜程小さいため若干隙間が大きめになってますがまずまずでしょう。何よりボリューム操作がしやすくと言うか当たり前の操作感になりました。
最後に
製品としての印象をまとめると良い製品であると同時に惜しい製品とも思います。
オペアンプは簡単に交換できるとは言え最初からもうちょっと良いオペアンプを使っていれば音の印象がまた違ったでしょうし、何よりボリュームの操作性の悪さはいただけないです。
基本性能が高いだけに残念です。国内正規販売時に改善されるかもしれませんが。
それからやっぱりボリュームを取り換えて音が良くなった気がするんですよね… 気のせいだと思いますけどね。