ほぼキットなヘッドホンアンプ、0db HyCAAを作りました。
ヘッドホンはAKGのK240 Studioをパワーアンプのヘッドホンジャック*1に繋いで使っていましたが、あんまり音が良くないのでちゃんとしたヘッドホンアンプが欲しいなと常々思っていました。
先日DACを購入した事でオーディオ熱がちょっと湧いて来まして、この際欲しかったヘッドホンアンプも買ってしまえと。
予算10,000円程で机の上で邪魔にならないコンパクトな物をと例のごとくネットで探したところ、0db HyCAAと言う真空管を使ったこのアンプが目に留まりました。
専用基板やハウジングのプレートも販売していて部品点数も少なく評判も良いので購入を決めました。何より真空管アンプに興味があったと言うのが動機としては一番強いです。
0db HyCAAについて
どんなアンプ?
一言で言えば安価でコンパクトな高音質ヘッドホンアンプです。安価な理由としては完成品じゃない事と開発者が個人である事、高価なパーツを使う必要が無い事が理由でしょうか。
真空管アンプではありますが真空管をゴリゴリに使うのではなくゆるっと動いてもらって増幅せずにヘッドホンを駆動させるバッファとして機能する感じです。
増幅無しで真空管を使う、classAAと言う高度な回路を用いる、この2点が特にクリアな音質を実現しているようです。
12VのACアダプターで動くと言うのもお手軽で良いです。
ほぼキット?
0db HyCAAは基板とプレートのみの販売ですがマニュアルのPDFに必要なパーツリストがあり各ネット店の商品ページへのリンクがあるため簡単にパーツが揃えられるようになっています。この辺がほぼキットだと思う所以です。
本来であればどのパーツが必要かリストアップして扱っている店を探してどの店でどのパーツを購入するか決めてと横着な私にはかなり気の重い作業になりますが、それらの面倒事を大方すっ飛ばせます。
かなり有難い事で開発者のたかじんさんには頭が下がる思いです。
ヘッドホンアンプの前に
ヘッドホンアンプを作る前にやらなければならない事があります。ヘッドホンアンプとパワーアンプと切り替えるセレクターを用意しなくてはいけません。
ところがコンパクトで安価なオーディオ用セレクターが無いんですよね。探し方が悪いのかもしれませんがそもそも1入力2出力の単純な物は製品として存在しないかも。と言う事でヘッドホンアンプの前にセレクターを作らなければなりません。
オーディオセレクターを作る
使うパーツ
なるべくコンパクトにしたかったのと操作が簡単なようにと、HAMMONDの1590Aと言うアルミダイキャストケースに足で踏むタイプのプッシュスイッチと言う組み合わせで作る事にします。
スイッチはDPDTとか2回路2接点等と言われる物で2つの配線を2方に切り替えられます。左右の音声信号のみをスイッチで切り替えGNDは左右共通化して繋ぎっぱなしです。私が作るのは単純なプッシュスイッチ式ですが、セレクターと言うとロータリースイッチを使う事が多くてこのロータリースイッチが高いんですよね。
セレクター回路自体は小学校の理科のスイッチの実験と同じような物で至って簡単です。ちょっと手書きで回路図を書いてみたもののあまりにも酷い出来なので掲載は控えます。回路図作成用ソフトを使えばきれいな回路図が書けるんですけどね。Fritzingが評判良さそうなのでぼちぼち弄ってみたいと思います。
今回初めてUEW(ポリウレタン銅線)を使います。はんだごてで被覆を溶かしながら作業できるので作業性が良いそうです。音声信号用にφ0.2mm、GND用にφ1mmと言う組み合わせで使ってみます。
パーツレイアウト
パーツを見ながら配置を決めます。ケースの内側を見るとちょうど鋳造時の湯口の跡らしきRCAジャック大の丸サインが並んでいるのでそれに合わせてみます。
適当にポンチで印をつけて3㎜のドリルで全ての孔を開けます。あとは孔の大きさに合わせてドリルを徐々に太くするだけですがボール盤が欲しくなる作業です。孔の大きさは以下のようにしました。
- RCAジャック 9.5mm
- ステレオミニジャック 7.5mm
- プッシュスイッチ 12㎜(現物合わせ)
プッシュスイッチ用の12mmのドリルが無いので10mmを開けてからリーマーで広げて現物合わせです。
ハンドドリルの孔開けに一番必要なのは孔の位置がずれたりしても気にしない広い心です。ボール盤だってずれる時はずれます。
アッテネーター
PCからの音声出力が大きすぎるのでアッテネーターを入れるようにします。抵抗3つ使ったT型アッテネーターで一応インピーダンスを10kΩとして-10dbぐらいを目安に作ります。5kΩを直列に2つ、その中点から6.8KΩをGNDに繋ぐと多分―10dbぐらいになると思います。Tee Attenuator Calculatorで計算して近似の抵抗を使いました。
セレクターの配線は空中配線なのでアッテネーターもそれに合わせて作っておきます。抵抗の足を利用して取り合えずT型にしておきます。音が悪くならないように音響用の抵抗を使いました。
RCAケーブル
ついでにセレクターとDACとの接続用に長さ50㎝のRCAケーブルも作りました。秋月で売っているRCAプラグにインピーダンス75Ωの1.5C-2Vの同軸ケーブルを組み合わせたものです。
プラグに対してケーブルが細すぎるのでいつぞやのφ6mmのシリコーンチューブでケーブルの太さを調節して接続しました。
AmazonベーシックのRCAケーブルよりは高解像度でモヤつかないケーブルが出来ました。中々良いので後で何本か作っておこうと思います。
パーツの取り付け
各パーツを取り付けます。GNDのラグを向かい合わせて繋げやすい位置にしておきます。
後は配線しやすい順にはんだ付けします。UEWは簡単だという話でしたがてこずりました。1㎜は被覆を溶かすのが結構大変です。後になって思えばはんだごてでなくトーチで焙った方が簡単だったかも。0.2mmは柔すぎて扱いが難しいです。作業中時々先端を見失ったりもします。多分0.5mmぐらいだと扱いやすいと思います。
アッテネーターは現物合わせで足を加工してはんだ付けします。この足を利用して入力側と出力側のRCAジャックのGNDを繋ぎます。
配線が終わったら通電チェックしてケースを閉めて完成です。
上から入力:RCAジャック、出力A:ステレオミニジャック、出力B:RCAジャックと言う並びです。
早速使ってみると切り替えもアッテネーターもきちんと機能しています。音質も問題ありません。
0dB HyCAAを作る
購入したパーツ
パーツは概ねマニュアルのリスト通りで一部を変更しました。
パーツ | 摘要 | 品名 | 購入先 |
---|---|---|---|
C1, C2 | 0.22μF DC63V | VF63Z224JAB | せんごく |
C3, C4 | 470μF 16V | 1CUTSJ471M0 | せんごく |
C5, C6 | 1500μF 16V | P-02015 | 秋月 |
CN1, CN2 | 3.5mm 4極ミニジャック | MJ-4PP-9 | 秋月 |
CN3 | 2.1mm DCジャック | MJ-179P | 秋月 |
R1, R2, R15, R16, R19, R20 | 3.3kΩ 1/4W | LGMFS25-332D | ビスパ |
R3, R4 | 1MΩ 1/4W | LGMFS50-105D | ビスパ |
R5, R6 | 820Ω 1/4W | LGMFS25-821D | ビスパ |
R7, R8 | 47kΩ 1/4W | LGMFS25-473D | ビスパ |
R9, R10, R21, R22 | 10Ω 1/4W | LGMFS25-100D | ビスパ |
R11, R12 | 33Ω 1/4W | LGMFS25-330D | ビスパ |
R13, R14 | 1kΩ 1/4W | LGMFS25-102D | ビスパ |
R17, R18 | 75Ω 1/2 | LGMFSA50-750C | ビスパ |
U1 MT9 | 真空管ソケット | 国産MT9P基盤用ソケット | 桜屋電機店 |
U2 V-amp | オペアンプ | OPA2604AP | 秋月 |
U3 C-Amp | オペアンプ | NJM5532DD | 秋月 |
VR1 | VR50kΩ | RD925G-QA1-A503 | マルツ |
OPAMPソケット | 丸ピンソケット | 2227MC-08-03 | 秋月 |
12V DC電源 | ACアダプタ | GF18-US1215-T | 秋月 |
基板 | 0dB HyCAA基板 | スイッチサイエンス | |
ハウジング | 0dB HyCAA基板用アクリル板 | スイッチサイエンス | |
つまみ | φ6.1mm | MAV B-15 黒 | せんごく |
真空管 | electro-harmonix 12AU7/ECC82 | 桜屋電機店 |
CN3のDCジャックMJ-179Pはマニュアルにあったので購入しましたが容量が12V 0.5Aなので4A流せるMJ-179PHの方が良いと思います。後で取り換える予定です。
DCジャックの容量0.5Aはスイッチ接点を使う場合の容量だそうで、スイッチ接点を使わなければ5A程度流せるそうです。実際に5Aを流す場合は確認を取った方が良いとは思いますが、少なくとも0db HyCAAでは問題なさそうです。
他に以下のパーツを追加しました。
シンボル | 摘要 | 品名 | 購入先 |
---|---|---|---|
C1, C2, C3, C4 | 0.1μF 50V | ECHU1H104GX9 | せんごく |
U2, U3 | オペアンプ | OPA2134PA | 秋月 |
U2, U3 | オペアンプ | OP275GP | 秋月 |
以下変更や追加したパーツ等について。
C1, C2 指月 SMC 0.22μF
クセが無く素直な音らしいのでこちらにしました。あと指月と言う名前が格好いい。
R17, R18 音響用金属皮膜抵抗 75Ω
音質を左右するとマニュアルにあったので音響用の抵抗にしてみました。100Ωは要らなそうなので少し減らして75Ω。今思えば全部音響用にしても良かったような。
U1 MT9 国産MT9P基盤用ソケット
基板が黒いからソケットも黒い物が格好いい。ただそれだけです。
つまみ MAV B-15 黒
アルミ削り出しだとデザイン的にちょっと浮くので黒い樹脂ベースなら無難と思いまして。
オペアンプ OPA2134PA & OP275GP
交換用オペアンプとして高解像度で比較的音にクセの無さそうな物を用意しました。
C1, C2, C3, C4 Panasonic ECHU 0.1μF
コンデンサに並列に追加すると音が良くなるらしいので。
electro-harmonix 12AU7/ECC82
桜屋電機店にて現行品の球で迷ったらまずはこれをお試しください。
とあったので。
クセがどうとか言っていますが折角の真空管アンプなのでクセを出すのは真空管のみであって欲しいと言うだけです。各パーツもそう言った事を踏まえての選択です。あと基板が見えるデザインなので割と見た目で選んだ部分もあります。
組み立て
基本的には背の低い順にパーツを取り付けていくのでまずは一番背の低い抵抗から取り付けます。
抵抗の次はジャックやICソケット、フィルムコンデンサ、ボリューム、電解コンデンサ、真空管ソケットと言う順です。
パーツも少なく難しいところはないのでそう時間はかかりません。30分もあれば終わるでしょう。
音出し、しかし
組み上がったので目視でチェックしてオペアンプと真空管を挿して早速音出ししてみますが、音が出ません。
動じるな。きっとはんだ付けが甘かっただけさ。もりもりに盛っておこう。と一通りはんだを盛って… やっぱり音が出ない。
と言う事で各所チェックする事に。まずは真空管のカソード電圧が2.5 - 6.5Vなら動作はする模様。約4.5V。ベストな状態です。
次にコンデンサの通電チェック、異常なし。
抵抗を一つ一つチェック。R13・R15とR14・R16は単体の抵抗値がはかれなかったけど左右で概ね同じ値なので異常なしと見てR22まで進めると10Ωのはずがテスターの値がどんどん上がり続け2kΩ以上に。
お前か。
正常な10Ωと交換。取り外した抵抗の値は2.25kΩありました。過少申告にも程があります。
気を取り直して今度こそ音が出るぞー 出ないぞー あれー?
鳴らない、アンプ
hycaa 音が出ない
先生に尋ねると出てくるブログの中でやはり音が出ないとの記事がありそのコメント欄を参考にしました。HyCAAの開発者であるたかじんさんも参加して皆さん丁寧に説明してくれています。
チェック箇所としては真空管のカソード電圧、オペアンプの電圧、V-ampのみでの音出し。
カソード電圧は既に正常なのが判明しているのでオペアンプの電圧をチェックしてこちらも正常。V-ampのみにして音が出ない。一応オペアンプのピンを触るとノイズは聞こえるのでオペアンプまでのどこかで断線してるのかもと各所で通電チェックをして問題無し。
実際に音を流してみて回路のどこから拾えなくなるかチェックしてみる事に。直接ヘッドホンで音を聞くため入力をライン出力からではなくパワーアンプのヘッドホン出力からに切り替えます。
最初にボリューム付近から信号を取り出しすと初っ端から全く聞こえません。これはおかしい。
試しに半分ぐらいに絞っていたボリュームを全開するとかすかに聞こえます。そう言えば途中にアッテネーター入れたしこのアンプは増幅無しだから…
ライン入力に戻して音源であるPCの音量を15から50に上げたら小さいながら聞こえました。あらら。改めてちゃんとジャックにヘッドホンを挿して聞いてみると中々クリアな音が出てるじゃありませんか。
ひょっとして音量が低かっただけ?
抵抗の異常を発見できたわけで結果オーライと言う事で。
聞かせてもらおうか、0db HyCAAの音とやらを
やっと音が出るようになったのでエージングも兼ねてしばらく音楽を流しているとどうも中域にクセがあるような気がします。
ここでオペアンプを交換してみます。まずV-ampをOPA2604APからOPA2134PAに交換してその音を聞いた瞬間「もうこれで良いや」と言う感じになりました。解像度が増してよりクリアな音になったのでV-ampはこれに決定します。
しかしV-ampを変更した事によって中域のクセが目立つようになってしまいました。
そこでC-ampをNJM5532DDからOPA2604APにすると良い感じに。低域がやや弱くなったものの中域のクセが無くなり自然な音になりました。次にOP275GPに変更すると更に低域が減りNJM5532DDから比べると弱々しく感じるものの解像度は上がり、よりクリアで自然な音になりました。しばらくOPA2604APとOP275GPとを交換しながら色々比較してみて最終的にC-ampはOP275GPにしました。
エージングが進むと低域もしっかり出るようになりました。変なクセも無く解像度の高いクリアな音が出ています。オペアンプはこれで決定です。オペアンプよりも真空管を交換して楽しむアンプだと思うので今後は真空管をちまちま買って色々試してみる予定です。
真空管の音は比較対象が無いので何とも言えませんが、私の平凡な耳にはクリアで高音質に聞こえます。十分満足のいく仕上がりです。
ハウジングに納める
ハウジングに関しては取り合えず適当に頼んでいたパーツと現物を見てから購入したパーツがあります。
例えば上下プレートを支えるスペーサーも適当に16mmを購入していましたが実際に組み上げてみると13㎜がベストなようです。コンデンサが当たらなければ10㎜にしたいところです。そうすれば真空管ソケットの鍔の高さと揃うので。
13㎜のスペーサーは一般的なサイズではないようでなかなか見つけられませんでした。黒い円筒で内側にM3ネジが切ってあるだけで良いんですけどね。見つけた物は4個で759円なのでスペーサーとしては割高になります。下側のスペーサーは用意していたネジの長さの都合からちょっと長めの6mmにしました。
ゴム足は実際にプレートの穴と角との関係を見てはみ出ない大きさの物を購入しました。
上部プレートを止めるネジはダクロタイズド処理をしたキャップボルトにしましたが、商品画像は黒かったのに実際は鈍色と言いますかドブメッキっぽい色です。これはこれで良い感じです。そもそも磨いてない金属素地っぽい色が好きなもので。
DCノイズフィルターを試してみる
使っている電源がスイッチング式のACアダプターなのでノイズを除去した方が音が良くなるかもと思ってこんな物を作ってみたんですが…
見た目はオカルトチックですがファインメットビーズと言う物でちゃんとノイズ除去に効果のあるものです。と言うか効果が強すぎて色々使いどころが難しいそうです。
取り合えずDCの+とGNDに入れるぐらいなら問題ないだろうと作ってみたんですが使った瞬間に「だめだこりゃ」となりました。
音は平坦になり定位がぼやけ奥行きは無くなり横一列に並んだ感じになります。エフェクターかなってぐらいの効果です。
オシロスコープなんて持ってないので測定はできませんがきっとノイズは除去できているんでしょう。ただしそれで音が良くなるかは別問題なわけでして。
そもそもスイッチングノイズなんて人間には聞こえません。オペアンプの動作に多少の影響を与えて結果音が悪くなると言う感じでしょう。ハムノイズが出ていれば対策としては良いのかもしれませんが… いや、そんな電源は捨てましょう。
試しにラジオにスイッチング式ACアダプターを使ってこのノイズフィルタを使うと使わない時よりラジオのノイズは結構減ります。ノイズ除去効果は確実にあります。
DCケーブルにフェライトコアを取り付けた場合も程度はマシですが似たような音になりました。
新たな真空管、古いけど
はじめて真空管を扱ったんですがソケットに挿すのも一苦労で正しい方法を知らなかったため「これ力いっぱい挿したら割れちゃうな」と相当不安になりました。
しかし訳あって何度も抜き差ししたため、今では何の不安もなく挿せるようになりました。1番ピンから時計回りで9番ピンまで行ったら反時計回りと言う往復動作を繰り返すとすんなり入ります。
と言う事で別の真空管も試すためヤフオクで松下電器 12FQ7を購入しました。2本セットの物を即決価格850円で落札したので1本425円と激安ですが、物が悪いと言うよりただ単に人気が無いようです。
松下電器 12FQ7
何でこの真空管なのかと言うと、0db HyCAAに使えそうな真空管を探していて12BH7の音が良いらしいと言う事だったので調べてみると12FQ7も良いんじゃないかと言う話が。ヤフオクで探してみると丁度安い出品があったので即落札した次第です。
数日して届いたのでアンプに挿してみると1本は普通でもう1本は右の音量が気持ち大きめに出ました。ただその2本目の方がステレオ感が強く定位がよりはっきりしていたのでそちらを使う事にします。
黒ずんで汚れている足を研磨シートで磨くと音の硬さが取れ自然になり、やや右の音量が大きかったのも改善されました。そのまま温めて音が落ち着いてきたのでelectro-harmonix(以下EH) 12AU7との比較です。
EH 12AU7と比べるとステレオ感が強く定位がはっきりしています。特に奥行きがより感じられるようになりました。また音の解像度も高く全体的に緻密になりました。
桜屋電機店によるとEH 12AU7は力強い音色が特徴
との事でしたが確かにそれと比べると少し音が弱いです。特に低音でそう感じますが低音単体で音を聞くと音自体はしっかり出ています。恐らく低域での解像度が向上したため聴感上そう聞こえるんだと思います。
他には中低域あたりに独特の艶があるように思います。それでいて全体的にはドライな感じで特にボーカルの掠れる感じがきれいです。また高音が柔らかく刺さるような感じがありません。
EH 12AU7とは格が違うと言う感じです。真空管単体ではどうかわかりませんが、使っているオペアンプやヘッドホンとの組み合わせがうまくハマったんだと思います。
それから結構熱を持ちます。火傷する程ではないんすがうっかり電源を落としたばかりで抜こうとするとアチチっとなります。
0db HyCAAで使える真空管
0db HyCAAで使える真空管はヒーター電圧が12.6Vでピンアサインが9Aと言う物で、その中で低電圧で使える物が適合します。
ヒーター電圧に6.3Vを供給できれば9AJと言うヒーター電圧以外同じピンアサインの真空管も使えそうではあります。実は間違えてこの9AJの真空管も数本買ってしまいました。*2
低電圧で動くかどうかは挿してみないとわかりませんが目安としてはプレートの短い物は駄目なようです。長い分には電力さえ供給できれば使えそうではあります。
たかじんさんのサイトでは以下の真空管が挙げられています。
- 12AU7
- 12AU7A
- 12AU7WA
- ECC82
- 5814A
- 6189
- 6067
- 5963
- 6680
- 7489
- 7730
- 7316
- 7489
- B749
- B329
- CV491
- CV4003
- CV4016
- M8136
- ECC802(S)
- E82CC
他にも12BH7や今回使った12FQ7は動作可能ですね。
Dr.Tubeと言うアメリカの真空管屋さんのデータシートのリストも参考になると思います。
最後に
まず0db HyCAAと言う素晴らしいヘッドホンアンプを開発し公開してくれたたかじんさんに感謝です。
音質は使うオペアンプや真空管次第と言う点もありますが、それ以外の設計部分で高音質になるように作られているため高価なパーツが無くても高音質だと言うのが素晴らしいです。正に設計の妙ですね。
使える真空管の種類も多そうなので色々交換して楽しめそうなのも良いです。これから色々な真空管を試してみようと思うんです、が…
実はこの記事を書いている途中もずっと松下 12FQ7を使っていたんですが全体的にパワーが出て音もかなり生々しくなりました。何やら凄い物を手に入れってしまったようです。